脳心note

脳科学や心理学に関して論文をもとにわかりやすく解説していきます。

なぜ禁煙は続かないのか?社会的な繋がりに着目してみた

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最近、タバコの値段、税金が徐々に増加してきました。

Twitterでも禁煙をされる方や、電子タバコにして匂いを気にする方も増えてきました。

 

ひと昔前はタバコを吸っていても普通に何事もない風景でしたが、今は老若男女タバコを毛嫌いする方が増えたように感じられます。

 

私は、タバコを吸っていませんが、4年前まではタバコを吸っていました。

 

嫁さんから「タバコをやめないと結婚しない」と言われたのでやめました。

 

タバコを巡って喧嘩しましたけど、今ではやめてよかったなと思っています。

 

さて、タバコをやめることを決意してもやめられない…という話はよく聞く話だと思います。

 

特に居酒屋に行くとものすごく吸いたくなりますよね。(私もそうでした)

 

こういった様々な誘惑により、「まあ一本くらいええやろ」と吸ってしまうと、いつの間にか一箱買っていて、禁煙失敗…

 

よくあるパターンだと思います。

 

今回は禁煙がうまくいかない理由を社会的な面でお話していきたいと思います。

これから禁煙を決意している方、誘惑に負けそうな方、必見です。

 

ニコチンの依存について

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禁煙を語る前にまず話しておかないといけないのはニコチンについてです。

ニコチンはアルカロイドの一種で、神経性の強い猛毒です。

 

ニコチンは、脳内のニコチン性アセチルコリン受容体に結合することにより、脳内の報酬系に作用し、心地よさをもたらします。

 

probrain-logical.hatenablog.com

 

禁煙がなかなか成功しないのはこのニコチンが報酬系に悪さをするからといっても過言ではありません。

 

しかもこのニコチン、一度禁煙して再度タバコを吸ってしまうと、また喫煙の習慣を形成してしまいます。

 

 

禁煙ができない社会的要因について

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ニコチンがタバコの依存症になる原因であることを解説しました。

しかし、依存性の強い物質を克服し、実際に禁煙を成功している方もいます。

 

そういった方は意思が強いというのも成功理由かもしれませんが、社会的背景が成功要因でないかと考えられます。

 

ニコチンに関するレビューを覗いてみたところ、現在、禁煙が失敗する要因として、社会的な要因が原因ではないかとも言われています。

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

社会的な要因とは、いわゆる付き合いでの喫煙というやつですね。

友人が、同僚が、上司が、飲み会の席で…

というやつです。

 

今までの喫煙に関する研究では、社会的な要因というものは無視され続けてきました。

 

しかし、つきあいでタバコを吸うという方も結構いますので、社会的背景が禁煙を阻害する原因になっているのではないかと考えられたのです。

 

実際、Fidler and West (2009)は、研究で喫煙が社交に役立ったという意見が35歳未満の人の間で増加していることを発見しました。

 

つまり、喫煙を上司や友人、同僚とうまく社会的に付き合っていくためのツールとしても活用されているのです。

 

現在は、日本を始め諸外国も禁煙を推奨しているので、タバコを吸う方はマイノリティー(少数派)になってきていますが、こういった「連れタバコ」の文化は健在だと思います。

 

まとめ

禁煙はニコチンによる離脱症状を乗り越えただけでは成功しないことがこのレビューを読んで感じました。

 

最近では、タバコを吸う人はかなり減ってきていますし、吸える場所も減ってきました。

そして、タバコに関する風当たりも非常に厳しくなってきているように感じられます。

 

社会的な側面では、かなりやめやすい環境になりつつあるのかもしれません。

 

しかし、上司や同僚の付き合いは禁煙を阻害する因子になります。

自分を取り巻く環境も考慮して禁煙を進めていかないとけません。

 

禁煙開始直後は飲み会にいかない、誘いがありそうな環境には近づかない。

タバコを吸っていた時間の替わりの時間潰しの方法を考えるなどの工夫も必要になります。

 

本当に難しい取り組みになると思いますが、将来の健康のためにも禁煙を始めてみてはいかがでしょうか?

 

最後まで読んでいただき有り難うございました。

noteでは認知症関連や神経系に関する話もしています。

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