脳心note

脳科学や心理学に関して論文をもとにわかりやすく解説していきます。

共感する脳 模倣される感情(ミラーニューロンシステムについて)

 

人の笑顔を見ると自分も嬉しくなる。他の人の愚痴や悪口を聞いていると嫌な気分になる。

そういった経験は誰でもしたことがあると思います。

以前、悪口に関する記事を、前回は、笑顔に関する記事を書かせていただきました。

probrain-logical.hatenablog.com

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悪口も笑顔も感情が共感することにより、快、不快感を共感します。

前回の記事で最後の方にちょこっとミラーニューロンというものに触れていますので、今回はミラーニューロンについて解説していきたいと思います。

 

ミラーニューロンとは?

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ミラー・ニューロンとは、Rizzolattiらの研究においてサルの腹側運動前野および下頭頂小葉で見つかった、自分が行為を実行するときにも他者が同様の行為をするのを観察するときにも活動するニューロンである。単に行為の視覚特性に反応しているのではなく、行為の意図まで処理していることが示唆されており、他者の行為の意味の理解・意図の理解などとの関与が提案されている。ヒトの相同領域でも、ミラー・ニューロンと解釈できる活動が示されている。

引用:ミラー・ニューロン - 脳科学辞典

 

元々はお猿さんの頭の中からモノマネするニューロンが見つかって、人間の脳みそにも同じ細胞がありましたよ。って話です。

 

ミラーニューロンの特徴は、他の人が運動しているのを見ると、自分の脳の前頭前野(運動を司るところ)が活動することです。

 

他にも人間の1次運動野、頭頂葉下部でも存在を認められており、総じてミラーニューロンシステムと呼ばれています。

 

このミラーニューロンシステム、人間のどういった脳活動で大切になってくるのでしょうか?

 

 

まず一つは「模倣」というものです。

スポーツや作業で他人の動きを真似しないといけない時ってありますよね。

そういったときに一役買います。

 

模倣を行うために、他の人の運動を視覚的にとらえ、自分が運動しなければなりません。

 

ミラーニューロンはマネする人、マネされる人に共通の運動表現を提供するので重要なプロセスと言えます。

 

 

 

感情の共感について

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では、今回の本題である、ミラーニューロンと他者の感情への共感はどう作用していくのでしょうか?

 

ミラーニューロンシステムによる他者への理解能力は、他者の意図を推測したり、他者の共感する能力へと発展していくことが考えられる。

とGalleseさんは述べています。

 

要するに他の人の笑顔や悪口による負の感情を意図的に読み取ってしまい、他者の感覚状態の様子を観察し、自分に同様の感情を認識させてしまうという話です。

 

実際にこの現象は研究結果で報告されています。

 

自分の足が触られる時と他者の足が触られるのを見た時で二次感覚野(S2)が共に活動することが発見された。(Keysers)

 

※二次感覚野(S2)

空間の認識や運動制御などといった様々な認知機能に関わる場所です。

 

一次感覚野(S1)も感覚に関するミラーシステムといえる活動を示すことを報告している。(Carr et al)

※1次感覚野(S1)

皮膚感覚や深部感覚(体の部位がどこにあるかを認識する感覚)を司る場所です。

顔の表情の写真を見せたときに、顔の運動やだけでなく島皮質にも活動が見られる。(Carr et al)

 

※島皮質

行動発現や認知機能、情動なども関与します。

 

このような研究結果から、運動の模倣のみでなく、感情の共感という面でもミラーニューロンは働きます。

 

まとめ

ミラーニューロンについて説明させていただきました。

ミラーニューロンは運動の模倣のイメージが強いのですが、実は感情の共感という面でも作用します。

 

笑顔が素敵な人は友達が多かったり、人が多く集まっていますよね。

これは笑顔により、心地よい感情が共感されるからです。

逆に悪口を言う人と一緒にいると、自分のことを言われていないのにモヤモヤしますよね。

これも嫌な感情が共感されるからです。

 

このミラーニューロンは子育てにも影響を及ぼすので意識してみてください。

最後までお読みいただき有り難うございました。